ポラリティセラピーとは
ポラリティセラピーのはじまり
ポラリティセラピーは、オステオパシー、自然療法、カイロプラクティックの医師であったランドルフ・ストーン博士が考案した、非常にユニークなセラピーです。

ストーン博士は60年にわたる実践と研究で、真の健康を手に入れるためのホリスティックなエネルギーワークを構築しました。インドのアーユルヴェーダシステム、ホメオパシー、東洋医学など多くの文化と民間医療を研究、臨床を重ね、それらの膨大な情報を実践しながら、やがて治癒の本質的な原則を導きだしました。そうして『極性(ポール)療法』と名付けたのが、ポラリティセラピーの始まりです。
ポラリティセラピーの原理はシンプルで明確で、人間の身体と大自然を対称しながら身体の自然な在り方を尊重していきます。
その表現の核となり深みとなる部分が5つのエレメント(空・風・火・水・地)です。
ポラリティセラピーの創始者であるストーン博士は、伝統的なヨガ、アーユルヴェーダ、チベット医学を基礎とし、オステオパシーなど自然療法と織り合わせ、実用的なボディワークとして再構築しました。
5つのエレメントはチャクラの概念と重なり合う部分がたくさんあります。ここでは5つのエレメントを簡単にご紹介します。
ポラリティセラピーと5エレメント
エレメント「空」
空は空間(スペース)、時空(タイム)として表現され、「エネルギーはスペースがあってはじめて動くことができる」と考えます。
エレメント「空」は、表現するということにつながります。人がなにかを表現する時には、安全で十分な場が必要です。
空はエネルギーが最初に存在し始める場所です。とても微細で、ニュートラルで、オープンなクオリティといえます。
エレメント「空」が豊かであると、自分らしく、のびのびといられることにつながります。逆に、頭がいっぱいで心に余裕がない時は、「空が足りない」と表現できるかもしれません。
空エレメントの司る感情は、大いなる喪失感にともなう深い哀しみ、大いなるものと一体となる喜びや祝福などが挙げられます。
エレメント「空」を表す身体の場所は喉、関節腔、脊髄腔です。喉という場所は、自由な表現のゲートであり、関節は空間(スペース)がある事で滑らかに動きます。
エレメント「空」は、他の4つのエレメントが活動できる空間(スペース)として存在します。
無という概念もこの空のエレメントに含まれ、なにもないという在り方、静けさ、内なる静けさは、精神の資源となります。
ポラリティセラピーでは身体の中心軸にも空間があると捉え、その空間を超音速で流れつづけるエナジーの束をウルトラソニックコアと呼び大切にしています。一切の物事は移ろい続けるというあり方も、エレメント「空」の大切な要素です。
エレメント「風」
エレメント「空」から「風」へ、エネルギーはしだいに密度を増していきます。しかしまだ目に見える形ではありません。
風は素早く、場所を越えて繋がっていき、時には踊るように、遊ぶように動くというクオリティがあります。
人と人とのコミュニケーション、水平方向へ広がる人間関係もエレメント「風」と深い関係があるといえます。インターネットやメールは、とても素早い風のエレメントの表れでしょう。思考もエレメント「風」の影響下にあります。
エレメント「風」を表す身体の位置は、胸、ハートの部分です。また内臓では心臓、肺、腎臓です。肌、神経システム、免疫システムも風と強い関係があります。古来より、胸やハートという場所は、人間の中心となる大切な部分として捉えられ、ソウル(魂)はハートに住むと信じられていました。
エレメント「風」が司どる感情は、愛と悲しみです。愛のエネルギーは胸を温かくします。一方、悲しさに打ちひしがれた時、とても胸が苦しくなったり詰まったりするのは、風のエネルギーが止まってしまったり、過剰になっている状態といえます。理由がわからずとも、ただ側にいるだけで、愛や悲しみは素早く伝わってしまう事があります。これが風のクオリティです。
コミュニケーションツールが発達した現代では、人間関係に悩み、、思考が過多になり、神経が過敏になる等の状況に陥りやすくなりました。これもまた、エレメント「風」の表れといえるでしょう。
エレメント「火」
エレメント「空」「風」を経て、エレメント「火」になると、エネルギーは目に見える形になります。
エレメント「火」は、物事を消化し、変化させ、浄化することに関係します。自他との境界線を生み出すのもこのエレメントと深い関係があります。
エレメント「火」は、外に向かって拡張する表現エネルギーで、何かを行動に移すときのエネルギーでもあります。体に熱をもたらし、温めます。
エレメント「火」を表す身体の位置はみぞおち付近で、内臓では太陽神経叢、消化器官や肝臓、胆嚢です。そのほか、太腿、額、目も火に属します。
エレメント「火」が司る感情は怒りや情熱です。それらをうまく表現できずにいると、みぞおちや横隔膜が硬くなったり、肝臓に問題があらわれたりします。クオリティが柔らかな火になると、笑いや安らぎ、明るさをもたらしてくれます。
「OK」「NO」を切り分けるのも火のクオリティです。エレメント「火」は自尊心をもたらし、上手く使えるようになると存在感が増します。日本社会では自分の意見を強く主張できる場が少ないために、多くの人が「火」のバランスを崩しているといえるかもしれません。
エレメント「水」
エレメント「火」で目に見える形になったエネルギーは、エレメント「水」になると、ゆるやかに物質化していきます。
水は結合力のゆるい物質で、その中にあらゆるものを溶かしこむことができます。
水は流れ続け、受け入れることに関係しています。火が男性性だとしたら、水は女性性を表すエレメントです。母性、時間をかけて育むというクオリティを持ちます。
エレメント「水」を表す身体の位置は、骨盤と腰で、内臓では生殖器と乳房、ホルモンやリンパです。
エレメント「水」が司る感情は、母性、慈しみ、対象のある愛情。また、頼ること、頼られること、執着などとも関係しています。
みずみずしい果実、生命豊かな海、子守唄の様な波のリズム、潮の満ち引きをつかさどる月などに共通するのは、豊かな水のイメージですね。私達の体はほとんどが水でできています。体に滋養を与え、治癒していくのも水の力です。体に水が浸透しなければ、まるで花が枯れたようになってしまいます。また、涙や汗のように、洗い流して浄化する働きをもつのも、エレメント「水」の力です。
エレメント「地」
エレメントの最後は「地」です。ここでエネルギーは完全に物質化し、根を下ろします。現実的な人のことをよく「地に足が着いた」と言いますね。そのような安定、落ち着きをもつのがエレメント「地」のクオリティです。
形にし、残るものにしていく力も「地」の範囲です。この部分は、組織、経済、家族、血族、風習、伝統として私たちに影響しています。
エレメント「地」を表す身体の位置は、尾てい骨、会陰部、腰、膝、首で、骨格構造も含みます。内臓は大腸で、嗅覚も「地」です。こうして挙げていくと、生存本能的と強い関係があることがわかりますね。
肉体的、感情的痛みが慢性化している時は、エレメント「地」を表す身体の部位に溜め込んでいる状態といえます。
エレメント「地」が司る感情は、安心感、支えられているという保証された感覚、生き残れるかどうかの不安や恐怖です。逃げる or 戦うか、といった判断も「地」のエレメントと深い関係があるといえるでしょう。
現実的に生きていくことや、人々が助け合う健全なコミュニティをもつことは大切な地のエレメントです。現代に生きる全ての人に必要なグラウディングという要素の原型なのが「地」なのです。